しらぬい

投稿者

50代女性:一関市在住

想い出の場所

陸中松川駅
陸中松川駅での思い出

思い出

今から40年以上も昔のこと。 私は小学生だった。 陸中松川駅から山汽車に乗って、一ノ関へお出かけする事はとても楽しみであった。一ノ関駅までの途中にはトンネルや鉄橋があった。真っ暗なトンネル内に山汽車が、吸い込まれるように入る瞬間は、いつも少しだけ怖かった。鉄橋を渡る時には「川に汽車ごと落っこちたらどうしよう!?」と、子供らしい想像力を働かせ、少し緊張した。山汽車の乗客に目を向けると、私の視線を釘付けにした高校生がいた。その生徒はボロボロの学生服を身に纏い、下駄をはき、ただならぬ存在感を醸し出していた。後日その高校生の事を親に話すと、「その学生さんはとても賢くて勉強が出来るんだよ」と教えてくれた。そうこうしているうちに沢山の人々でごった返す一ノ関駅へ降り立った。駅前に立ち並ぶ沢山のお店の中でシンボル的な存在だった、ショッピングデパート。 その最上階の食堂で食べたお子さまランチとクリームソーダが、脳裏に浮かんで来る。それからローラースケート靴を買ってもらったおもちゃ屋。みずみずしく甘い香り漂う果物屋。ハードカバーの赤毛のアンシリーズがズラリと並ぶ本屋。女の子のかわいい大好きな物が詰まったファンシーショップ。家族とラーメンを食べた老舗の町中華。(他にも魅力溢れるお店をもっと紹介したいのだが、長くなるので割愛させて頂く。) あれから40年。時代と共に目まぐるしく一ノ関は変化を遂げて来た。

山汽車に乗ってワクワクしていた小学生の私に、今の私からそっと伝えたい。 多感な子供時代に大船渡線山汽車から得た楽しい思い出の数々は、50歳を超えた今も心の中に残っているよ。宝物のようにいつまでもキラキラと輝いているよ。

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電車のイラスト