千葉利二

投稿者

90代男性:一関市在住

想い出の場所

折壁駅
折壁駅での思い出

思い出

大船渡線の各駅毎にそれぞれの思い出があるが、特に忘れ難いのが折壁駅です。折壁は室根さんのつつじと名物白あんぱんですが、すでに五十年も経つが、普段の駅は通勤通学と数人の買い物客に時どき室根山登山者がある位であるのに、当日集団就職の臨時列車が気仙沼から折壁駅にさしかかった時、普段と異なりホームに一杯人だかり黒山のように群がっていた。大きな荷物を持った学生服にセラー服の若者を見送りの友人家族がとり囲み騒然としていた。名前を呼び激励する言葉でさわがしかった。やがて発車の合図があり少し長めの汽笛をならし後部を見ると未だ列車にすがり離れず動き出しても付いて来る様に見えた。普段なら発車加速の操作をするところ惜別の情にほだされ少しの間徐行した。自分の子供と同じ位の年頃で親元を離れ就職する彼等を他人事と思えなかった。その後は盆正月に帰省客に彼等がいるかと思い巡らせた。今でも金の卵と云われた彼等はどうしているかと思います。

みんなの思い出一覧に戻る
電車のイラスト